
2025年8月、韓国政治に前例のないニュースが飛び込みました。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の妻で元大統領夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏が逮捕され、すでに別件で収監中の尹氏と史上初の「元大統領夫妻同時収監」が現実のものとなったのです。
容疑は、株価操作やあっせん収賄を含む16件以上の不正疑惑。金氏は無罪を主張していますが、裁判所は「証拠隠滅の恐れがある」として逮捕を決定しました。
事件は、李在明(イ・ジェミョン)政権が掲げる「古いしがらみ一掃」政策の象徴として、国内外から大きな注目を集めています。
金建希(キム・ゴンヒ)逮捕!経歴詐称・贈収賄・統一教会疑惑まで徹底解説
史上初の「元大統領夫妻同時収監」
金建希氏逮捕までの流れ
8月12日夜、ソウル中央地裁は金建希氏の逮捕状を発付しました。
「証拠を隠す可能性が高い」という理由で、特別検察官チームによる約40日間の捜査結果を踏まえた判断でした。
逮捕当日、金氏は数時間の審査を受けた後、収監用の服に着替え、マグショット(顔写真)を撮影。精密検査を経て女性収容棟の独房にりました。
夫・尹錫悦前大統領はすでに収監中
一方、尹前大統領は既に内乱罪など別件で拘束中。
そのため、夫婦が同時期に別々の施設に収監されるという韓国憲政史上初の事態となりました。
過去の元大統領逮捕との違い
過去には朴槿恵(パク・クネ)氏や李明博(イ・ミョンバク)氏など元大統領の逮捕はありましたが、「大統領と配偶者の同時収監」は前例がありません。
金建希氏にかけられた主な疑惑
株価操作事件(ドイツモータース)
知人が経営する輸入車販売企業「ドイツモータース」の株を、市場の需給を偽装して値段をつり上げたとされます。
これは資本市場法違反に当たり、経済と政治の癒着を象徴する案件と見られています。
あっせん収賄と旧統一教会
旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の元幹部から高級バッグやダイヤのネックレスなど贈り物を受け取り、その見返りとして便宜を図ったとされています。
宗教団体と政治のつながりは韓国社会でも敏感なテーマです。
その他の複数疑惑
国政選挙で特定候補を有利にするための介入や、政界・経済界での不正口利きなど、合計16件以上の疑惑が取り沙汰されています。
金建希(キム・ゴンヒ)逮捕!経歴詐称・贈収賄・統一教会疑惑まで徹底解説
李在明政権の「古いしがらみ一掃」
李在明(イ・ジェミョン)大統領は2025年6月の政権発足以来、
を政策の柱として掲げてきました。
今回の金氏逮捕はその方針を強く印象づける出来事です。
特別検察官制度を駆使し、新政権は政権中枢や有力者への遠慮ない捜査を展開しています。「政治の大掃除」と呼ばれるこの動きは改革派から評価されている一方、保守派からは強い批判を浴びています。
国民の反応は真っ二つ
「正義の実現」と歓迎する声
「法の前の平等」や「権力者の腐敗を許さない」という姿勢を評価し、李政権の行動を支持する市民も少なくありません。
SNS上では
「腐敗体質の政治を変えるきっかけ」
といった声が目立ちます。
「政治的迫害だ」と反発する声
しかし尹氏を支持する勢力や保守系メディアは「政治的な弾圧だ」と批判します。各地で抗議デモが行われ、
という懸念も高まっています。
韓国政治特有の背景:なぜ政権交代で前大統領が逮捕されるのか
韓国では、大統領は国政全般に強い権限を持つ「帝王的大統領」制度のもとで行動します。
このため任期中の腐敗や不正のリスクが高く、退任後には必ずといっていいほど前政権への徹底捜査が行われます。
政権が交代すると、
しているのです。
今後の展望
司法と政治の関係再構築
元大統領夫妻同時収監は、権力の監視体制の強化を象徴します。政治と司法の距離感が今後どう変化するか注目です。国民の信頼回復
不正追及が公正に行われれば信頼回復の契機になりますが、偏った捜査と見なされれば逆に不信を招きます。対立の激化リスク
保守・進歩の対立が深まり、社会的分断が固定化する懸念もあります。
まとめ
金建希氏の逮捕と元大統領夫妻同時収監は、韓国の政治史において大きな節目となります。
李在明政権が掲げる「古いしがらみ一掃」がどこまで成し遂げられるのか、今後の裁判の行方と世論の動きがその成否を左右します。
これは単なる一政治家の不正追及にとどまらず、韓国の政治と司法のあり方そのものを問う試金石といえるでしょう。