ダム・ズイ・カンの勤務先特定か!市内の農業法人「技能実習生の生活環境が劣悪だった」

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佐賀県伊万里市でベトナム国籍の技能実習生ダム・ズイ・カン容疑者(24歳)が逮捕された強盗殺人事件は、静かな地方都市に大きな衝撃と波紋を投げかけました。

犠牲となったのは日本語講師の椋本舞子さん(40歳)と、重傷を負ったその母親。

容疑者逮捕のニュースは「技能実習生の闇」と「受け入れ社会の責任」をあらためて問うもとなっており、勤務先が特定されたのか多くの関心が寄せられています。

 

椋本舞子(むくもと まいこ) 経歴「家族思いで教育熱心だった」伊万里強盗殺人事件

勤務先は市内農業法人・食品工場か

各報道によると、ダム・ズイ・カン容疑者は

「市内の農業法人で技能実習生として雇用され、主に野菜の選別などの単純作業に従事していた」

とされています。

勤務先の詳細な社名は現時点では公表されていません。

伊万里市内の現場近くに実習生寮があり、容疑者は同じベトナム人実習生たちと生活。周辺の食品加工工場や農業関連企業で技能実習生が多数働いていることから、こうした現場で日々働いていたのは間違いありません。

彼らは労働力不足の地域産業を根底から支える役割を担う一方で、

仕事内容は単純・長時間、重労働・低賃金という過酷さが突出しています。

技能実習生の生活はどれほど過酷だったのか

長時間労働と低賃金

技能実習制度は「技術移転」を建前に拡大してきましたが、実態は「安価な労働力」の確保を目的としたものとなっており、

  • 最低賃金を下回る給与

  • 契約外の仕事の強制

  • 残業手当や賃金の未払い

など違法労働の温床となっています。

佐賀県内でも同様のトラブルで実習生が行政保護される例が相次いで報じられており、現地の監督指導では約7割もの事業所で法令違反が発覚しています。

言葉の壁・孤独・プレッシャー

さらに日本語が不自由なまま現場投入されることもしばしば。

  • 職場でのパワハラ・孤立感

  • 数人での寮生活によるプライベート喪失

  • 厳しい送金ノルマや家族への責任感

こうした重圧が精神的ストレス・経済的困窮となり、失踪や事件などの社会問題を引き起こす要因となっているのです。

 

椋本舞子(むくもと まいこ) 経歴「家族思いで教育熱心だった」伊万里強盗殺人事件

事件の背景に「制度のひずみ」──金銭的困窮と無差別的強盗

事件当日、カン容疑者は寮から徒歩数分の被害者宅に押し入り、「財布を出せ」「金を出せ」と強盗、その要求が拒まれるやナイフで切りつけたとされています。

奪った現金は約1万1,000円。被害者との面識はなく、偶発的かつ金銭目的の強盗という見立てが強いですが、

「たった1万円余りのためにここまで追い込まれた背景には“劣悪な生活環境”と“精神的孤立”があったのでは」

と専門家や地域住民からは同情も寄せられています。

 

 

社会と行政──制度改革への課題

事件を受け、伊万里市や佐賀県では外国人技能実習生の生活実態調査や、日本語教室・交流支援、労働環境の適正化に向けた対策強化が求められています。

  • 受け入れ企業による違法行為への監督強化

  • 根本的な技能実習制度の見直し

  • 多文化共生に向けたサポートの充実

など、社会全体で「単なる労働力供給」から「地域で暮らす仲間」として受け入れる在り方が問われています。

 

技能実習生・外国人労働者が関与した主な事件

1. 2019年 茨城県八千代町の強盗殺人未遂事件

ベトナム人技能実習生(21歳)が高齢夫婦を襲い死傷させた事件が発生。

実習生は逮捕後、懲役27年の判決を受けた。

犯行動機ははっきりしていないが、生活苦や孤立した環境が背景にあったと指摘されている。

2. 2025年7月 青森県五所川原市の殺人未遂事件

ベトナム人技能実習生(33歳)が同僚の実習生を殺害しようとし逮捕。

事件発生当時、両者は2025年1月に技能実習生として来日していた。事件は双方が逮捕されるなど複雑な背景がみられる。

 

共通点と傾向

いずれの事件も「技能実習生」あるいは「外国人労働者」が深く関与しています。

犯行の背景には低賃金・長時間労働・孤立・ストレスといった生活環境の悪化や、経済的困窮、精神的追い詰められなどが指摘されている。

被害者と加害者の間には面識がない、突発的な金銭目的犯行が多い。

「技能実習制度」自体の環境や制度設計の問題が浮き彫りになるケースが多く、社会問題としても注目されている。

近年も外国人技能実習生による犯行は全国で散発しており、社会的孤立や支援体制の未整備が再発防止策として強く求められています。

 

まとめ:伊万里事件が語るもの

ダム・ズイ・カン容疑者は決して特異な存在ではなく、ベトナムから夢を抱いてやってきた若者の一人でした。しかし、制度の問題や孤独な現実、将来の不安、厳しい経済状況が重なり合って「社会から孤立した末の凶行」という悲劇に至った可能性が指摘されています。

この事件は「個人の問題」だけでなく、日本社会と制度全体が抱えるひずみをあぶり出した出来事であり、二度と同じ悲劇を繰り返さないためには本質的な制度改革と支援の拡充が不可欠だと言えるでしょう。

伊万里の地で失われた命に哀悼の意を表し、すべての人が安心して暮らせる社会の構築を願うばかりです。

 

椋本舞子(むくもと まいこ) 経歴「家族思いで教育熱心だった」伊万里強盗殺人事件

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